歯や口は、言うまでもなく「食べ物をとり込み、食べる」機能、「表情をつくり、話す」 機能、あるいは「運動を支え、体のバランスをとったりする」機能等があり、生きるための大切な器官の一つではないでしょうか。
学校における歯・口の健康づくりの意義
「病気・治療の志向」とは、病気や健康問題が発生した場合にのみ対応するという考え方
「健康文化の志向」は、日常生活の中での健康的な生活習慣や行動を促進し、全体的な健康と豊かさを創造することを目指す考え方
学校等の歯科健診は、子どもたちの口腔健康を守り、生涯にわたる健康な習慣を育むための基盤を作る重要な役割を果たています。日本の学校等で行われる歯科健診とスクリーニングの内容と重要性、そして歯科医院の健診とどのような違いがあるのかについて掘り下げてみましょう。
はじめに
幼稚園・保育園など学校等で行う歯・口腔の健康診断は、学校保健安全法により定められています。また、学校保健安全法施行規則で6月30日までに実施される事と記載されています。
学校等の歯科健診とスクリーニング
学校等の歯科健診は、学校の医療体制の一部として、生徒全員が定期的に口腔の健康チェックを受けることを目指すものです。
視覚的検査、噛み合わせの評価などが含まれます。
これらのスクリーニングを通じて、むし歯や歯周病、噛み合わせの問題など、口腔内の一般的な問題を早期に見つけ出すことが可能です。
学校等の歯科健診における集団的スクリーニングとは、
全生徒が歯科健診を受け、一括して口腔の健康状態をチェックすることを指します。
具体的には、学校の歯科健診における集団的スクリーニングは以下のようなプロセスを経ます。
- 1.準備:学校や地域の歯科医師が訪問し、スクリーニングのための準備を行います。
- 2.スクリーニング:生徒全員が順番に簡単な口腔検査を受けます。歯科医師が虫歯、歯周病、噛み合わせの問題などをチェックします。このスクリーニングは診察室で行われる完全な検査とは異なり、概要を把握するためのものです。
- 参考資料;文部科学省「生きる力」をはぐくむ 学校での歯・口の健康づくり」付録より
- 3.報告とフォローアップ:スクリーニングの結果は、個々の生徒とその保護者に報告されます。何らかの問題が見つかった場合、詳細な検査や治療のためにかかりつけの歯科医院にご相談していただくことが推奨されています。
学校等の歯科健診における集団的スクリーニングの利点
参考資料;文部科学省「生きる力」をはぐくむ 学校での歯・口の健康づくり」第2章 第3節より
全生徒の口腔の健康状態を一度に把握し、口腔の問題を早期に発見し、適切な治療を開始することを可能にします。また、学校等における歯科保健活動は、教育活動の一環として行われ、この機会を通じて生徒たちは口腔健康の重要性を学び、良好な口腔ケアの習慣を育てることができます。
学校等の歯科健診と歯科医院の健診の違い
学校等の歯科健診と歯科医院の健診は、それぞれ異なる目的と利点を持ちますが、これらは相互補完的な役割を果たします。
学校等の歯科健診
範囲:全ての幼児・児童・生徒に対して行われる大規模なスクリーニングです。これにより、学校全体の口腔健康の状況を一覧できます。
目的:口腔の問題の早期発見と予防です。また、子供たちに口腔衛生の重要性を教え、良いケアの習慣を形成することも重視されます。
詳細度:通常、基本的な視覚的検査に限られています。詳細な検査や特定の治療が必要な場合は、専門的な歯科医療機関への紹介が行われます。
歯科医院の健診
範囲:通常、個々の患者に対して行われます。それぞれの患者さまの具体的なニーズと状況に応じた詳細な検査と治療が提供されます。
目的:口腔の問題の早期発見だけでなく、具体的な治療と継続的な口腔ケアを提供することを目指しています。
詳細度:詳細な診断、特定の治療、そして個々の患者のための口腔ケア計画の作成が可能です。これには、X線撮影、詳細な歯周病のスクリーニング、補綴物(クラウンやブリッジなど)の必要性の評価などが含まれることがあります。
まとめ
学校の歯科健診とスクリーニングは、子どもたちの口腔健康を維持し、将来の健康問題を防ぐために非常に重要な役割を果たしています。学校の健診と歯科医師の健診が相互に補完し合うことで、子ども一人ひとりの口腔健康が総合的にサポートされ、生涯の健康を守る基盤が築かれます。