子供の成長における小さな奇跡の一つ、それは彼らの最初の笑顔にあらわれる乳歯です。その一本一本が、成長の新しいステージへの扉を開いているように思えますね。
成長を見守る親として、私たちはその微笑ましい瞬間を目の当たりにしながらも、時には疑問を抱くことがあります。
なぜ乳歯はあのような特定の順序で生えるのでしょう? そして、その小さな歯が私たちの子供たちの健康と幸せにどのように影響を与えるのでしょうか?
今回の記事では、乳歯が生え始める不思議な時期と順序、そしてそれらがなぜ大切なのかを探求したいと思います。子供たちの口腔の健康を守るための鍵となる、この知識を一緒に学びましょう。そうすれば、彼らの健やかな成長を支えるための、適切なケアと予防策を手に入れることができるでしょう。
それでは、小さな歯の成長に秘められた興味深い物語を、一緒に紐解いてみましょう。
歯の名称
歯には、乳歯と永久歯の2種類があります。
- 乳歯(乳児期の歯) – 生後数ヶ月から生え始める最初の一連の歯。全部で20本。これらは最終的に永久歯に置き換わります。
- 永久歯(大人の歯) – 乳歯が抜けた後に生える、一生を通じて持つ歯。親知らずらを含めると全部で32本。
歯の主要なカテゴリー
- 前歯(切歯) – 食べ物を噛み切るための鋭いエッジを持つ歯。上下顎にそれぞれ4本ずつあります。
- 奥歯(臼歯) – 食べ物を砕くための広い咬合面を持つ歯。これには小臼歯と大臼歯が含まれます。ただし、乳臼歯には大小の区別はありません。
歯の番号
日本では、乳歯は「A, B, C, D, E」というアルファベットで、永久歯は「1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8」という数字で表されます。
例えば、右の上の歯の一番奥の乳歯は「右上E」と表現することが多いです。
乳歯の呼び方
Aは乳中切歯、Bは乳側切歯、Cは乳犬歯、Dは第一乳臼歯、Eは第二乳臼歯と言われます。
歯の名称は長く、間違えると誤って治療してしまう恐れがあります。記号を使い、どの歯のことを指しているか誰でもすぐわかるようにしています。
乳歯の生える順番について
子供たちの笑顔を彩る乳歯。これらがどのような順序で顔を出すのか、以下の表にまとめました。この情報は、お子様の成長を見守る中で、どの歯がいつ頃顔を出すのかを理解するための一助となります。
乳歯の生える順番表
種類 | 名称 | 萌出時期 |
---|---|---|
A |
上:乳中切歯下:乳中切歯 |
上あご10ヶ月頃下あご7ヶ月頃 |
B |
乳側切歯 |
12ヶ月頃 |
C |
乳犬歯 |
1歳10ヶ月頃 |
D |
第一乳臼歯 |
1歳4ヶ月頃 |
E |
第二乳臼歯 |
2歳6ヶ月頃 |
乳歯は、下のあごから生え始めることが多く、最初に見られるのは通常乳中切歯(A)です。その後、乳側切歯(B)、第一乳臼歯(D)、乳犬歯(C)、そして最後に第二乳臼歯(E)が順を追って生えてきます。順番は前から順に生えてくるわけではないことがわかります。
この表は、乳歯が生えるおおよその時期を示していますが、個人差があるため、お子様によってはこれより早かったり遅かったりすることがあります。乳歯の成長は、お子様の健康な発達の大切な一部であり、それぞれの歯が期待される時期にきちんと生えてくることが、お子さまの将来の健康な歯並びにつながります。
乳歯の成長の神秘
最初に生える乳歯は下の前歯Aからが一般的です。
多くの赤ちゃんは生後約6か月から8か月にこの歯が生えることが多いです。
この時期に歯が生える理由には様々な説がありますが、一つの見方として、赤ちゃんが生まれたからの初期は唇を使って母乳を吸っていて、そこから成長する中で、下の顎が食べ物を探すのに必要だから下の前歯から生える可能性があるともいわれています。
Cという歯を飛ばしてDが先に生えてくるのはなぜか?
ココが面白いところだと思います。しかし、私にもわかりません。
乳歯を大切にしてほしい
ご来院いただいたお父さんやお母さんに、乳歯が虫歯になってしまったことを伝えるとき、よく「その虫歯になった歯って乳歯ですよね。よかった~」とおっしゃる方もいらっしゃいます。もちろん永久歯が虫歯になるよりはましだということがおっしゃりたいのだと思います。
でもここは大きな落とし穴があり、とっても注意が必要です。
乳歯は、永久歯の健康へのパスポート
乳歯の段階で虫歯になるということは、その時点で虫歯菌が元気に活動しているということです。つまり乳歯が抜けて永久歯に生え変わっても虫歯になるリスクは高いということになります。もちろんここから頑張って虫歯にならないように予防を頑張っていくことが大切ですが、虫歯になりやすいリスクを減らすのはそうそう簡単な事ではありません。
また、乳歯は小さく、虫歯になると治療が大変です。虫歯治療ですべて完全に治せるわけではなく、一度治療した歯がまた虫歯になってしまうことも少なくありません。
また長期間にわたって、虫歯になった歯をそのままにしていくと、特に歯と歯の間が虫歯になった時、歯の大きさが虫歯によって小さくなることで後ろの歯が前によって来てしまうことがあります。
その結果、全体的に歯列が小さくなり、永久歯が生える場所が狭くなり、結果として歯並びに影響してしまうこともあります。
ですから、生え変わるからいいやと思わないで、生え変わるまで大切にするために、そしてお子さまの明るい未来のために、予防を頑張ってほしいと思います。
Y.C.デンタルクリニック
監修;歯科医師 山田章貴